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旅好き高じて旅行会社勤務、当時の役得から、お得な旅にしか触手が伸びず。 お気に入りの観光地、安い旅のタネ、業界の裏側などを紹介。 旅かば♪の旅にお付き合いください(^_^)
北の島
仕事をやめた。
失恋し、身体を壊し、仕事の方もにっちもさっちも行かなくなって、生活をリセット。
これを全部まとめて打ち明けた人は、まだ誰もいない。

退職金をつぎ込んで、旅に出た。
前半は、心配して仕事を休んでついてきてくれた友だちとイギリス、スコットランドを放浪。
一応、宿は数日分は予約してから出かけた。
レンタカーで西海岸沿いをドライブ。
スカイ島のさらに外れ、人っ子ひとりいない海岸で、サーチライトのように強烈な光を放つ月を見た。


さすがに2週間目には、友人はスコットランドの小さな町で別れて帰国。
残りは1人で、宿も決めず、北の果てに行こうとだけ決めて、オークニー諸島へ。

小さな町で老婦人の家のB&Bに泊まる。
よかったら居間にいらっしゃい、と言われたが、あの時の自分にはできないことだった。
ツインのシングルユース、きれいな客間で、ひとり夜を過ごした。
ベッドの上に広げた荷物が、いつになっても片づかない。
それでもあの老婦人の孤独は、わたしには手の届かないものだった。

パフィンを見に行くバスツアーに申し込んだ。断崖絶壁を訪ねる旅。
人数がそろわず催行されなかった。
今思い返せば、それは幸いだったのかも知れない……

行く当てがなくなって、島を散歩した。海辺の誰もいない道を歩き、浜辺のベンチでパンとりんごとヨーグルトの昼食をとる。
1人の旅で撮った写真は寂しい。
ただ、北の灰色の空と海だけでも充分さみしいのに。
1人なら泣けるかと思ったけれど、泣けなかった。

牧草地の小道をたどっていたら、わたしの物思いを粉々にする勢いで、飛び出してきた犬。
dog.gif


男の子と母親があとから現れ、にっこり挨拶してすれ違う。
なぜか自分の思いが可笑しくなった。

旅立つ前から、ホンの少しだけ、帰らないのではないかと自分自身恐れていて、旅行の最後の方に、イベントへの参加を予約したりの小細工もしていた。
けれど、ちゃんと自分の立てた旅程通り、わたしは家に帰った。
今も思い返すと、あの旅の間だけ、薄い紗がかかったように別の種類の記憶になっている。
何度もあの旅の旅行記を書こうと思ったけれど、まだ果たせずにいる。
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テーマ:一人旅 - ジャンル:旅行

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